【AbemaTVがおもしろい⑥】妖しくも美しく切ないコリアンエロスムービー映画の魅力

2017年12月14日 17:52

日本でもそうだが、映画はTVドラマと違って規制が緩いこともあり、時に過激な性描写が話題になる作品もある。最近の韓国映画ではソン・スンホンとイム・ジヨンが主演した『情愛中毒』や、キム・ミニ主演の『お嬢さん』などがあるが、今回はそんな「コリアンエロスムービー映画」の名作を紹介する。

『霜花店（サンファジョム）運命、その愛』2008年公開

チョ・インソン、チュ・ジンモ、ソン・ジヒョ主演の高麗の王宮を舞台にした物語。
高麗の恭愍（コンミン）王（チュ・ジンモ）は、若い頃から女性に興味を抱かず、国中の美少年を集めて愛でていた。とくにその中でもホンニム（チョ・インソン）を深く愛し、護衛隊の隊長としても重用していた。

ところが、跡取りが一向に生まれないことに、国の内外から圧力がかかり、王位すら危うくなった王は、苦肉の策としてホンニムに王妃（ソン・ジヒョ）の相手をするように命ずる。「せめておまえに似た子を抱きたい」と。

一夜の相手で終わるはずだったホンニムと王妃だが、互いを求めあい、愛し合うようになり秘密の逢瀬を重ねる。そしてそれを知った王は嫉妬に狂い、狂気へと堕ちて行く。

愛する王に命じられた故に王妃の相手をするホンニムと、政略結婚で元から嫁いできた王妃。跡取りが生まれなければ、高麗国の未来は危ぶまれ、自分の行く末もしれない。そんな「義務感」から一夜の床を共にしたふたりが、最初はお互いの身体に溺れ、いつしか思いを重ねて行く様子が切ない。

特に何度目かの逢瀬で王妃がホンニムに餅を食べさせるシーン。愛する人に作ってあげるのだと、「祖国の女達がそうしているのを自分もしてみたかった」とホンニムに花餅を差し出し、ホンニムはそれを食べながら涙を流す。王に命じられた関係、王妃と護衛隊長という立場を越えて一人の男と女として二人が愛し合うようになる切なく美しい物語がそこにある。

その一方で自分が望んでしたことに、恐ろしい嫉妬を募らせる王も、ある意味ひどく人間臭い。ホンニムと王妃の愛が深まるほど、王の嫉妬も深まり、三人はまさに血みどろの地獄に堕ちて行く。

公開当時からチョ・インソンとチュ・ジンモの男同士のベッドシーンが話題になったが、物語の切なさゆえにいやらしさを感じさせない。また、ホンニムの子ども時代をヨ・ジングが演じていたり、イム・ジュファン、ソン・ジュンギが護衛隊の隊員で出演したりと、韓国ドラマファンには注目のキャストも。

『オガムド～五感度』2009年公開

「五感を刺激するエロス」をテーマに、ペ・ヨンジュンとソン・イェジン主演の『四月の雪』のホ・ジノや、チュ・ジフン、キム・ジェウクら出演の『アンティーク　西洋骨董洋菓子店』のミン・ギュドンら5人の監督たちが描く5編の短編ラブストーリー。

一夜限りの関係、死を前に無力だが愛し合う夫婦、夫が愛人と密会中に事故死、突然未亡人となった女など、さまざまな愛の形を描いたオムニバス映画。

5つのストーリーのうち、最後の「One Fine Day」に注目。
三組の高校生カップルが1日だけパートナーを取り換えてみようと提案。「1日だけの恋人」として過ごす、というシンプルな物語。今のカレシ、カノジョのことは愛しているけれど、本当にこれでいいのかな、と迷う心。もしかしたら他の相手でもいいのかもしれない。キスしたりセックスしたり、これって誰とでもできるんじゃ…?　単純だけど大胆な行動に出た6人は、その1日になにが起きたかは秘密にするという約束で、パートナーをシャッフルする。

結論から言えば結末はありきたりなのだが、この6人の高校生のキャストがすごい。今や韓流を代表する俳優となったソン・ジュンギと、『六龍が飛ぶ』『ハベクの新婦』のシン・セギョン。『コーヒープリンス1号店』のハリム役で注目されたキム・ドンウクとセクシーアイコンとして名高いクララ（イ・ソンミン）。『花より男子』で注目され、ボクシングの韓国代表選手としても活躍しているイ・シヨンと「美男バンド～君に届けるピュアビート』に出演していたチョン・ウィチョル。正直、高校生に見えるか？といわれれば若干難があるが、初々しさを感じつつ、今とほとんど変わらないビジュアルにも驚かされる。

他のストーリーにチャン・ヒョク、オム・ジョンファ、ファン・ジョンミンらが出演している。

AbemaTV韓流・華流ドラマチャンネルではこの二つの作品を含む「コリアンエロス映画」特集を放送。
『鬼～トッケビ』のヒロインを演じたキム・ゴウンがふしぎな色気をもつ女子高生を演じた『ウンギョ　青い蜜』や、ソン・ガンホが輸血によりバンパイアとなった神父を演じたミステリー『渇き』を放送予定。

（text:Yuki Awatsu）