【レビュー】韓国映画史上歴代2位の大ヒット中!『国際市場で逢いましょう』(5/16公開)で、東方神起ユンホが本格的スクリーンデビュー!
2015年02月17日 16:56
まるで一枚の絵画のような、眺めの良い高台から、釜山の湾を見渡す映像が印象的だ。それは平和で満ち足りた今を象徴的に描いているのだが、今にたどり着くまでの道のりは、たやすいものではなかった。
5月16日公開の韓国映画「国際市場で逢いましょう」の初号試写(*字幕が付いて最初の内覧試写)を観た。この物語は、ひとつの家族の1950年から現在までを丁寧に描いている。1900年代中頃、朝鮮戦争の最中の激動の韓国で、その時代の大きな波にのみ込まれそうになりながらも、一家を守るため、ただひたすら愛する家族の幸せのために、ガムシャラに生き抜いた・・・ちょうどおじいちゃんおばあちゃんの時代の青春物語。
韓国で昨年12月17日より公開され、観客動員1,330万人を超える韓国映画史上歴代2位の大ヒットを記録中の「国際市場で逢いましょう」が描いている人たちは普通の一般庶民だ。特殊能力がある人も出てこなければ、タイムトリップもない。登場人物は私たちの身近にいる誰かと似ている。美点もあれば欠点もあり、助けたり助けられたりしながら懸命に生きている。
主人公ドクスを演じるのは、映画『ユア・マイ・サンシャイン』『新しき世界』などで演技派として高い評価を得ているファン・ジョンミン。ドクスが幼い頃、1950年代は朝鮮戦争真っ只中で、興南(フンナム)撤収作戦で父と末の妹マクスンと離れ離れになってしまった。長男のドクスは戦争の混乱の中、母、弟、妹と共に避難民として釜山で育つ。場所は釜山の「国際市場」。日々のギリギリの生活の中、ドクスは成長し、父親代わりにお金を稼ぐため、西ドイツ・デュッセルドルフの鉱山へ出稼ぎ、ベトナム戦争への出兵など、生死の瀬戸際に立つ危険な場所で家族のために汗まみれ、泥まみれになり働く。
この作品は、観終った後すぐに、両親の声を聞きたくなるような作品だ。大人になると、どんなに頑張ってても、褒めてくれる人がいなかったりする。毎日頑張ってるね、わかっているよ、と愛する家族がわかってくれていたら、それだけで辛いことも報われる。いや、そんな言葉なんてなくても、家族がみんな笑顔だったらそれでいい。そんな気持ちになる作品だ。人が強くなれる理由が丁寧に描かれている。
半世紀に渡って韓国の史実に沿って一家の暮らしも変化していくが、いつも家族のために率先して犠牲になるドクスに、妻は「あなたの人生でしょ!あなたのために生きて!」と言う。自分の人生を自分のために生きる、というのは普通だ。でも、自分の人生は自分を必要としてくれる人のために生き、いつも命を懸けて家族を守ってきたドクスのひたむきさに胸を打たれる。もしかしたら、ドクスが頑固で要領が悪いだけの石頭なのかもしれない。でも、上映約2時間後のエンディングを迎える頃には、彼の生き様を愛おしく感じる。誰にとっても人生は一度きりだ。こんな風に、激しく、そして優しく、今の世の中を生き抜くことができるだろうか。
本作で東方神起のユンホが本格的にスクリーンデビューを果たしたことも大きな話題となっている。ベトナム戦争に参戦した実在する韓国の有名歌手ナム・ジンのベトナムでの戦闘シーンに出演してるのだが・・・まず言えることは、破格のカッコ良さ!予感はあるけど不意に来るユンホ登場のファーストシーンにドキッとする。ベトナムでの先の見えない厳しい状況下に於いて、ドクスの窮地を救う、まさにヒーローのような存在として描かれている。戦場で頼りになる男!その決定的な瞬間はスクリーンで確かめて欲しいが、女性じゃなくても、ドクスがそうであったように、彼の生涯ファンとなること間違いなし。そして戦場でも歌を忘れないナム・ジンの姿も、ユンホのファンならやっぱり嬉しい必見シーンだろう。また、このように後世に間違いなく残る作品でスクリーンデビューしたことにも拍手を送りたい。
自分は誰のために生きているのだろう?そんな風に自問自答しながら、やっぱり正解はないのだろうけど、この作品を通して1つの真っ直ぐな生き方を目の当たりにして、なにかを受け取ったような気分になる。それは国や言葉も関係なく、誰の心にも届くあたたかい気持ちだ。
(text:Kiyori Matsumoto)
『国際市場で逢いましょう』
2014年/韓国/127分/監督:ユン・ジェギュン/出演:ファン・ジョンミン、キム・ユンジン、オ・ダルス、チョン・ジニョン、チャン・ヨンナム、ラ・ミラン、キム・スルギ、ユンホ(東方神起)/配給:CJ Entertainment Japan
●5月16日(土) ヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿ほか全国順次ロードショー
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