【レビュー】2PMチャンソン、映画『レッドカーペット』（8/15公開）でスクリーンデビュー！Jun. Kが挿入歌「Come Back」を提供。

2015年08月10日 01:10

不器用で融通のきかない男と女のロマンチックでハートウォーミングなミニシアター系作品の舞台は、なんと！R指定のアダルト映画製作の舞台裏。2PMチャンソンが演じるのは、ひょんなことからアダルト映画製作会社に入ってしまう、一流芸大出身のエリードだけど、どこかヌケてて天然キュートな新人ADデユン。

8月15日公開の韓国作品『レッドカーペット』の試写を観た。

物語は、ハリウッドで活躍しアカデミー賞を受賞するような映画作品の監督を夢見るが、現実はアダルト映画のヒットメーカー、ジョンウ（ユン・ゲサン）と、なぜかルームシェアをすることになった元人気子役で演じることから長い間離れてしまったウンス（コ・ジュニ）の出会いから始まる。ふたりは衝突しながら惹かれあい、ウンスはジョンウがアダルト映画を撮っているとは知らずに彼の脚本を読み、刺激と勇気をもらい、女優として再起を誓う。

1年後、ふたりは別々の道を歩んでいた。ジョンウのもとを去りトップ女優になったウンス、相変わらずアダルト映画を撮る日々のジョンウ。彼も自分の夢を諦めたわけではない。仲間たちに後押しされ、夢への一歩を踏み出すために、自主映画の撮影を始める。そんな彼らに共感したウンスは事務所に内緒でヒロインを演じたことがマスコミに報道され大事件に・・・！

まず、チャンソンがこのようなマニアックだけど良質なミニシアター系作品を自身のスクリーンデビュー作に選んだことに拍手を送りたい。彼自身が選択したのだろうか。センス良すぎる！

チャンソンが演じるデユンは面接で、映画「市民ケーン」（1941年作品、オーソン・ウェルズ監督）が好きで、ゴダール（＊ヌーヴェルヴァーグの旗手、ジャン＝リュック・ゴダール監督。代表作「勝手にしやがれ」、「気狂いピエロ」など）も好き、とおしゃれウンチク若造のこだわりをみせる。だが、デユンの中の知識や常識は、アダルト映画撮影のエロさあふれるリアルな女体現場でふっとんでしまう！演じるチャンソンの純朴でコミカルな演技に注目！

今回の映画出演についてチャンソは「シナリオがとても面白かったです。仕事の合間に読んでいたのですが、先が気になって仕方なかったです。すごく楽しかったです。デユンはミスばかりするんですが、どこか憎めません。言動に悪意があるわけではなく、何も分からないだけなんです。愛されるキャラクターで、本当は賢いのですが、バカな面が目立ってますね」と語っているが、劇中のデユンの成長ぶりは、物語の最後の最後まで目を離せない。本当に最後の最後まで、だ。

ジョンウとウンスのラブストーリー、それぞれの夢に向かって必死にもがきながら前を向いて進んで行くプライドと逞しさ、そしてジョンウと両親の葛藤と愛情など、今作は登場する人物それぞれの生きてきた背景がわかるように丁寧に描かれている。

誰もが自分の夢を叶えることは簡単ではない。夢を強く持ち続けているジョンウには、夢がないのでは？と見える相手を歯がゆく思ってしまう。平凡に父のそばで生きる母に「夢はないのか？」と思わず言ってしまうシーンがある。母は傷ついた表情を見せるが、もっともっと大きな愛情で息子を見守っている。ジョンウとウンスのラブストーリーがメインなので、ジョンウと両親のエピソードは彼の人としての成長を描く上での複線的に見えるかもしれないが、後半大きく胸を打つだろう。

そして2PMファンは見逃せない（聴き逃せない）シーンがある。スクリーンデビューを飾ったチャンソンのためにJun. Kが提供した切なく歌う挿入歌「Come Back」も必聴！ジョンウの元をウンスが去り、ジョンウが彼女を想って失意の日々を送るシーンで流れる。

約2時間の作品を観終った時、ほっこりとあたたかく幸せな気持ちに包まれるだろう。ものすごい特撮や時空間をさかのぼったりもない。映画だから当然フィクションなんだけど、でもどこか身近な出来事のように感じる。それは登場人物の抱える悩みや頑張りに共感し、愛すべきキャラクターとして描かれているところが大きい。

（text:Kiyori Matsumoto）

『レッドカーペット』
2014年／韓国／117分／監督・脚本：パク・ボムス／出演：ユン・ゲサン、チャンソン（２PM）、コ・ジュニ、オ・ジョンセ、チョ・ダルファン／原題：레드카펫、英題：Red Carpet／挿入歌：「Come back」Jun.K（２PM）／配給：コムストック・グループ／配給協力:クロックワークス
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●8月15日（土）よりシネマート新宿ほかにて公開